仕事において、ストレスは避けて通れない厄介なものだと思われがち。
しかし、ストレスの正体は課題を乗り越えるために心身が生み出すエネルギーと考えると、どうでしょう?
本来、ストレスは困難な問題に立ち向かうための活力源となり得るはず。一方で、パフォーマンスを低下させる諸刃の剣にもなります。
大切なのは、ストレスに支配されるのではなく、このエネルギーを乗りこなす技術を身につけること。どうすればストレスの手綱を握ることができるのか、3つのヒントをチェックしていきましょう。
仕事のパフォーマンスは、精神的なエネルギーの量に大きく左右されます。
多くの研究が示すように、私たちの能力がもっとも発揮されるのは、エネルギーが「ちょうどよい量」に保たれているときです。
エネルギーが不足すれば、重要なタスクへの意欲は湧きません。
逆に過剰になれば、そのエネルギーに圧倒され、思考が散漫になり、1つのことに集中できなくなってしまいます。
その理想的な中間地点、いわば自分だけの「集中ゾーン」を見つけ出すことが第一歩です。
重要な作業に没頭でき、心地よい緊張感と共に物事を前に進められる。そのときの感覚、身体のサイン、思考の明晰さを、意識して覚えておきましょう。
それが、あなたのパフォーマンスの基準点となります。
もし、「ストレスレベルが上がりすぎて、もはやベストな状態で仕事ができていない」と感じたら、エネルギーを和らげるための対処法を取り入れましょう。
たとえば、少し散歩をする、深呼吸をする、同僚と話すなど。
そして、自分が再び集中できそうだと感じるまで、仕事には戻らないようにできるとよいでしょう。
このような対処を挟むことで、仕事が進まないストレスを生み出し、エネルギーがまた過剰になる……なんてことを回避することができます。
仕事のストレスがプライベートの時間にまで染み出しているなら、意図的に「境界線」を引く必要があります。まるで、城の周りに「堀」を巡らせ、守るべきものを守るようなもの。
たとえばドリップコーヒーを淹れるなど、仕事の終わりとプライベートのはじまりの間に、気持ちを切り替えるための「儀式」となる行動を見つけましょう。
もし少しでも時間が取れるなら、運動、読書、楽器の演奏や創作活動など、意識を集中させる能動的な趣味に取り組むことをおすすめします。
テレビを観るような受け身の活動は一見リラックスできそうですが、仕事で使っていた思考回路を十分に切り替えることができないので、おすすめできません。
能動的な活動は、思考のチャンネルを強制的に切り替え、仕事のモードからあなたを解放してくれるのです。
どうしてもすぐに家庭の用事に取りかからなければならない場合は、家族のニーズに応えながら、気持ちの切り替えができる工夫をしてみましょう。
たとえば家事をゲーム感覚にしたり、音楽やオーディオブックを聴きながら作業したりするのも効果的です。気分を切り替えられる、楽しみになるような要素を見つけてみてください。
どんなテクニックも、盤石な土台がなければ意味を成しません。その土台こそが「睡眠」です。
ストレスフルな1日を終え、自由な時間を少しでも長く確保したいと夜更かししたくなる気持ちはよくわかります。
しかし、それは将来のエネルギーを前借りしているに過ぎないのです。
睡眠は、心と体を修復し、日中に酷使した思考と感情を整理するための、もっとも重要な時間です。
もしストレスで寝つきが悪いなら、まずは就寝前の習慣を見直すことからはじめましょう。
眠る30分前にはデジタルデバイスから離れる、毎日同じ流れで就寝準備をするなど、脳に「これから休む時間だ」という合図を送ることで、心身は自然と休息モードへと切り替わります。
規則正しい睡眠習慣は、集中力やストレスへの耐性を高めてくれます。これは、仕事でも家庭でも大きな助けとなるでしょう。
これらは単なる対症療法ではありません。自分自身の状態を客観的に観察して、主体的にコンディションを整え、パフォーマンスを高めていくために一生使える技術です。
まずは今日、仕事の合間に自分のエネルギーレベルがどこにあるか、少しだけ意識を向けることからはじめてみませんか?
その小さな観察が、ストレスに支配される日々から抜け出し、あなたが本来持つ能力を最大限に発揮するための一歩となるはずです。
Source: Classics in the History of Psychology
Originally published by Fast Company [原文]
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2025-07-02T12:56:52Z