結論から言えば、ご自身が「やってみたい」と思うのであれば、何歳からでも始めて問題ありません。ただし、年金暮らしでの投資は、大きく増やすことを目指すものではなく、今の暮らしを守りながら無理のない範囲で向き合うことが大切になります。
今回は、これから投資を始めてもよいのか、そしてどのように付き合っていけばよいのかを整理してみましょう。
シニアの暮らしには、突然の医療費や介護費、住まいの修繕、家電の買い替えなど、まとまった現金が必要になる場面が予期せずやってきます。
そんなとき、もし資産のほとんどが投資信託や株式で、折あしく市場が大暴落していたらどうでしょうか。「値上がりするまで待つ」という精神的な余裕がなく、泣く泣く損を出して売却せざるを得なくなります。
若いうちは「複利の効果」を期待して、定期預金や国債などよりも投資信託や株などの割合を多めにして、お金に24時間フル回転で働いてもらうこともあったかもしれません。しかし、シニア世代のお金には、そんな無理はさせないことです。
自分自身の働き方が緩やかになるように、お金にもゆるゆると自分のペースで、時々休みながら働いてもらう。例えば、投資信託や株などに預けるのは資産全体の1割くらいにとどめておく。この割合は、その方の余力によって変わりますが、今の暮らしの歩幅に合わせた「守りの姿勢」がちょうどいいといえます。
ただし、そこにはシニアならではの鉄則があります。まずは「分からないもの、知らないものには手を出さない」こと。そして、決して無理をしないことです。
自分の将来に必要なお金を試算し、その分は個人向け国債や定期預金などの「安全資産」にしっかりと確保する。投資を考えるのは、その後の余力がある場合にしておくとよいでしょう。
一番分かりやすい基準は「年齢」です。体力や判断力の変化に合わせて、75歳や80歳といった節目でリスク資産を減らしていく。頭がさえているうちに整理をしておくことは、自分だけでなく周りに迷惑をかけないための大切な配慮でもあります。
あるいは「運用の成果」で決めるのも1つ。例えば、元手となる資産が1~2割ほど増えたら、欲を出さずに利益を確定させて現金に戻すなど、穏やかに投資から卒業していくのが、シニア世代にはちょうどいい引き際ではないでしょうか。
余力で細く長く続けるのも、スパッと現金化して今を楽しむために使うのも自由です。自分自身の心地よい距離感を見つけ、心穏やかに過ごせる選択をしていきましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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2026-04-08T12:33:46Z